南カフカスの標高1000~2000mの高原地域。1991年以来独立共和国。首都はエレバン。アララット山は、富士山にもたとえられるアルメニア人にとり聖なる高峰。隣国アゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフ自治州にはアルメニア人系住民が多く住んでいるので、その帰属をめぐってアゼルバイジャンとの間で紛争が続いている。セルジ・サルキシャン現大統領も同紛争遂行のためにロシアの支援を必要とし、ロシア寄りの政治姿勢をとる。同紛争に関して、トルコはアゼルバイジャン側に立ち、さかのぼるとアルメニアとの間では1915年のアルメニア人大虐殺問題を抱えている。それにもかかわらず、アルメニアとトルコは、これらの問題とは一応切り離すかたちで、2009年10月、正式な国交正常化を目指す方針を打ち出した。ロシアのグルジア(現・ジョージア)侵攻、世界的経済危機の発生を受けて両国間の経済交流を深化させる必要性に目覚めたからだと解釈される。