2008年5月12日に発表された、プーチン内閣ならびにメドベージェフ大統領府の人事。メドベージェフ・プーチン双頭政権の最初の人事として、その顔ぶれは注目に値する。第1の特徴は、プーチン首相が事実上、単に閣僚ばかりでなく、大統領府の人事案を作成し、新大統領がそのままそれを承認したこと。これは、メドベージェフ大統領の任命権限を二重に侵食したことになる。まずロシア憲法によれば、外相、国防相、内相らのいわゆる「武力省庁」の長は、大統領によって任命されることになっている。また、プーチン首相は、大統領府の人事にまでくちばしをはさんだからである。第2の特色は、「シロビキ」と「リベラル」の2大派閥間のバランスが保たれていること。「シロビキ」とは、旧KGB、軍部など「武力省庁」にかつて勤めたり、もしくは現在関係をもっている人々。「リベラル」とは、そのようなシロビキと関係をもたず、比較的リベラルな考え方をもつ、主としてサンクトペテルブルク出身の法曹家やエコノミストたちを指す。