2期8年(2000~08年)の「プーチン第1期」下の経済好調の原因が、主としてエネルギー国際価格の高騰に支えられていたことを指す。ロシアは、石油の確認埋蔵量でも生産量でもサウジアラビアに次いで世界第2位。天然ガスの確認埋蔵量でも生産量でも第1位。石油とガスの輸出だけで、ロシアは輸出総額の約57%を稼いでいた。ロシア政府は、かつて石油1バレル当たり27ドルを基準価格に設定して、国家予算を決めていた。1バレル当たり1ドル上昇するごとに、ロシア政府は約17億~20億ドルの余剰収入を手に入れる。しかし、エネルギーに過大に依存することは、天然資源の輸出にのみ熱中して国際競争力を低下させる、いわゆる「オランダ病」に感染する危険をもつ。原材料の切り売り体質に満足しがちな心理におちいり、額に汗する労働を軽視し、経済改革を先送りにし、国際的競争力をもつ国内産業の振興努力を怠りがちな傾向をみちびく。