メドベージェフ大統領が2009年9月10日にニュースサイト「ガジェータ.Ru」を通じて発表した論文。08年末からロシアを直撃した金融・経済危機を真剣にとらえて、現ロシアの経済、政治、社会、地方などほとんどすべての分野が抱えている諸欠陥を忌憚(きたん)なく批判した。そのことによって、1999年8月~2009年8月のプーチン主導の10年間が決して満足すべき時代でなかったことをほのめかした。すなわち、ロシアは依然として、「非効率的な経済」、「理想からほど遠い民主主義」、「脆弱(ぜいじゃく)な市民社会」、「不安定な北コーカサス」などの深刻な問題を抱えている。結果として、「ロシアは、10年前と同様に半ばまひ状態に陥っている」。同大統領の呼びかけに応じて約3万件の反応があり、同大統領はこの論文から2カ月後に発表した第2回目の大統領教書演説執筆のおりに、それらも参考にしたという。だが同教書演説は、プーチン首相も出席する上下両院の公式の場で発表されたために、現ロシア批判はトーンダウンしており、メドベージェフ大統領の不満を知るためには本論文を読む必要がある。