鳩山由紀夫首相(当時)下の初期民主党政権に対するロシアの態度や政策。鳩山首相は、日ソ国交正常化をなしとげたものの北方領土問題の最終的解決に成功しなかった鳩山一郎元総理の孫であることを強く意識して、領土問題を解決して日ロ間で平和条約を締結することに情熱を注ぐ決意を表明した。ロシア側は少なくとも表面上は日本における政権交代によってもロシアに対する北方四島の返還要求に変化は生まれないと判断し、静観の姿勢をとった。歴代のロシアの政権同様に、日本との平和条約交渉をぐずぐず続ける一方、日本との経済・科学技術協力を進展させるという基本戦略に変わりはなかった。2009年11月のシンガポールのAPEC会議を利用しての鳩山首相との会談で、メドベージェフ大統領はロシア側から何ら「独創的なアプローチ」を提示しなかった。その代わりに、ロシアの双頭政権がとったのは、次のような言動である。(1)日本の固有領土をロシアが「不法占拠」しているとの日本側の主張に対する激しい反発姿勢、(2)北方四島での「日ロ共同経済開発」という従来から日本側が拒否している非独創的な提案の蒸し返し。