汚職とは、政治家や公務員などが職権や地位を乱用し、賄賂(わいろ)の受け取りと交換のかたちで、特定人に不当な利益を与えること。汚職はおそらく人類の発生とともに始まり、ロシアでは帝制、ソビエト期、ポスト・ソビエト期の区別を問わず、まん延している。その訳は、政治が官僚主義的、権威主義的であり、かつほとんどの国民が経済的に貧しい状態に置かれていたために、国民がやむなく生活の知恵として汚職にかかわらざるをえなかったからであろう。トランスペアレンシー(透明度)インターナショナルという国際NGO(非政府組織)によると、ロシアは2000年に世界90カ国のなかで82位の汚職度であったが、10年には170カ国中154位へまで落ちた。プーチンもメドべージェフも国立大学法学部卒で汚職の追放に熱を入れているが、成果は上がるどころか、ますます悪化している。「法的虚無主義との闘い」を自らの政治スローガンの筆頭に掲げるメドべージェフ大統領は、公務員らに年間所得の申告を命じたものの、それに反発する者が多く、効果が上がっていない。反対野党は「魚は頭から腐る」のことわざを引用して、タンデム(双頭)政権の2人の指導者が率先して海外預金口座額などを公表すべしと主張している。