2009年12月5日に期限切れとなった第1次戦略兵器削減条約(START1)に代わる後継条約。10年4月8日にプラハでメドべージェフ大統領は、アメリカのオバマ大統領との間で、次の点について合意した。(1)戦略核弾頭数を1550個、(2)大陸間弾道ミサイル(ICBM)や戦略爆撃機などの運搬手段の配備数を700基(全体の保有数の上限は800基)にまで、それぞれ削減する。条約発効のためには、米ロそれぞれの議会での批准が必要とされる。10年12月22日、アメリカ上院が批准、11年1月25~26日にロシアの上下両院が批准した。続いて1月28日にロシアのメドベージェフ大統領、2月2日にアメリカのオバマ大統領が批准書に署名、2月5日に批准書の交換によって新START条約は発効した。ただし批准承認にあたりアメリカ上院は、本条約締結にもかかわらずアメリカがミサイル防衛(MD)を推進できるとの付帯決議を可決し、ロシア側は、そのようなアメリカのMD強化でロシアの核戦力が脅かされる場合には本条約を脱退できると主張している。そのほかにも、共和党を中心とするアメリカの批准消極派の間では、次の疑問がくすぶっている。(1)同条約発効後に保有できる核弾頭を近代化できるか。(2)ロシア側が本条約を忠実に履行しているか否かを検証するすべがあるか。(3)ロシアがアメリカに優位している戦術核の削減交渉がはたして保障されているのか。