プーチン政権が発足した2000年5月以来、財務相を務めていたアレクセイ・クドリンが、突如罷免された事件。クドリンは、レニングラード(現サンクトペテルブルク)国立大学経済学部卒。1960年生まれで、プーチンより8歳若く、メドベージェフより5歳年長の政治家。サンクトペテルブルク市役所にともに勤務して以来、プーチンの盟友の1人。プーチンとクドリンの関係の近さを表現するために、両人の名前を合体させ「プードリン」なる造語を用いる欧米の専門家もいる。プーチンが大統領に復帰する場合、自分こそがプーチンによって次期首相に指名されるにちがいないと、クドリンは思い込んでいた様子である。ところが、2011年9月24日、プーチンは、自分が大統領に返り咲く場合、メドベージェフを首相に指名すると発表した。失望し激高したクドリンは、メドベージェフ首相下では働けないとの意思を表明し、9月26日メドベージェフによって罷免された。クドリンは「リベラル」かつ緊縮財政派であり、プーチン=メドベージェフ・チームが、来るべき選挙目当てに行おうとしている軍部や年金生活者に対するばらまき政策に反対している。プーチン首相が己の直属の部下であるクドリン財務相兼副首相をメドベージェフ大統領が罷免することにすんなりと同意した背後には、ゆくゆくはメドベージェフを罷免してクドリンを首相に据える意図があるからと勘ぐられている。11年12月以来発生しているロシア各都市での抗議デモにクドリンは姿を現した。彼は、プーチン主導政権と反対派との間で仲介者役をはたそうとしているやに見受けられる。