ロシアでプーチンの政治支配が長期化することを懸念してささやかれはじめた言葉。プーチンは2000年にロシア大統領に就き、2期8年間ロシアを統治した。08年にメドベージェフに大統領職を譲ったものの、事実上は自ら首相兼政権与党「統一ロシア」党首として院政を敷いた。12年5月には大統領に復帰し、24年まで2期12年間、名実ともにロシア政治のナンバー1として君臨するだろう。さらにひょっとすると、24年に大統領を退いた後も、己の意のままになる人物(たとえば、メドベージェフ、アレクセイ・クドリン前財務相兼副首相、ワレンチナ・マトビエンコ上院議長)を形だけの大統領職に祭り上げ、プーチンが彼(または彼女)を操作するタンデム政権を復活させるかもしれない。このようにして半永久的に続きかねないプーチン体制を指して、ロシアの政治学者ドミトリー・フルマンは「プーチン“疑似王朝”」と名づけた。フルマン以外のクレムリン・ウオッチャーからも、プーチン統治の長期化が「安定」ではなく、18年間続いたブレジネフ・ソ連共産党書記長時代の「停滞」を繰り返す危険を孕(はら)んでいると警戒する声が発せられている。