タンデム政権下で、ロシア人の間で海外への移住を希望する者が急増している状況。最近10年間で国外へ去ったロシア人は125万人以上で、これは現ロシア総人口の約1%に当たる。1917年のロシア革命直後に起こった200万人の流出に次ぐブームであり、91年のソ連邦崩壊後の数字を上回る。2010~11年時点でロシア成人人口の約22%が海外移住を希望し、さらに若年層では約40%にも上る(ソ連崩壊時には18%)。政権側にとっての頭痛の種は、同政権がまさに推進しようと努めているロシア経済の近代化、なかでもその有効な手段であるハイテク産業に従事してくれると期待するロシア社会の「ベスト&ブライテスト」層が海外へ移住したがっている(頭脳流出)ことである。主な移住希望先は、ドイツ(19%)、アメリカ(15%)、イギリス(13%)、フランス(5%)、イタリア(5%)。移住の動機は、欧米先進諸国における高い所得水準や豊かな消費生活へのあこがれ。優秀な高等教育設備、言論・思想・集会・結社の自由の保証の存在。裏返していえば、ロシアでは以上のような機会が限られていることに対する失望感が高まっているといえよう。