プーチン首相が2011年10月以来提案している、部分的にはソ連復活を目指すかのような構想。人一倍愛国主義者であるプーチンは、大統領時代の05年4月、「ソ連邦の解体は、20世紀最大の地政学的な惨事である」と嘆いた。が、覆水盆に返らず。こう考え直した彼は、次のようにも述べた。「ソ連崩壊を惜しまない者にはハート(心)がない。一方、それを元に戻そうとする者にはブレーン(頭)がない」。旧ソ連邦の崩壊後に誕生した、いわゆる「独立国家共同体」(CIS)は、このまま放っておくと、その結びつきが次第に弛緩していく運命にある。そのような傾向を防止し、できれば欧州連合(EU)に匹敵し、対抗さえするような組織を形成する必要がある。プーチンはおそらくこう考えたのであろう、11年10月4日付の「イズベスチヤ」紙で、ユーラシア連合の構想を発表した。まず、ロシア、カザフスタン、ベラルーシの3カ国間で結成した「関税同盟」をベースにして、「統一経済圏」を発足させる。それに、キルギスやタジキスタンをはじめとして残りのCISの国々を取り込んで「ユーラシア連合」につなげるという青写真である。アメリカ、EU、中国などの中央アジア地域などへの介入を防止すると同時に、国際社会の中でのロシアの存在感や影響力の増大・強化が、その狙い。