ベラルーシでアレクサンドル・ルカシェンコ(56歳)が、2010年12月に4度連続して大統領に選ばれた(任期5年)。ルカシェンコは1994年に大統領に初当選以降、ベラルーシ憲法から連続3選禁止規定を削除し2006年に3選された。「ヨーロッパ最後の独裁者」とのあだ名が献上されている。10年12月実施の大統領選には8人が立候補、ルカシェンコが第1次投票で80%近くの票を獲得した。だが、野党陣営は、期日前投票や集計をめぐる不正があったとして選挙のやり直しを要求する抗議デモや集会を展開、警官隊との流血の事態を招いた。野党候補が乱立して一本化しておらず、反対運動は勢いを欠いている。そのために、ルカシェンコ大統領は、ベラルーシでは「カラー革命は起こらない」と豪語する。同大統領にとり頭痛の種は、経済状態の悪化である。何よりもベラルーシの通貨、ベラルーシ・ルーブルの対ドル公定ルートの急落がそのことを物語る。ベラルーシを直撃中の経済危機は、欧米諸国に深刻なジレンマを突きつける。国際通貨基金(IMF)などを通じてベラルーシに緊急支援を行うと、それは結果的にルカシェンコの独裁体制を助け、存続させることになる。他方、支援しなければ、ベラルーシをロシア側に追いやることになるからだ。