2011年12月の下院選挙での投開票不正疑惑をきっかけに噴出し、規模や編成を変えながら継続している政権批判集会。最初の大規模集会は下院選当日の12月4日、モスクワおよびサンクトペテルブルクにて、ソーシャルメディアによって自発的に集まった市民によって行われた。翌週末(10日)にはさらに地方都市に拡散し、最大規模となったモスクワでの集会には約15万人(主催者側発表)が結集。24日にも同程度の集会が全国で開かれた。集会は12年3月の大統領選挙に向け、またその後も8月を除き定期的に国内外の主要都市で実施(ただし夏頃から集会規模は縮小傾向)。集会に集まる人々の主張は「清潔な選挙」という統一スローガンはあれ、政治信条は穏健派ナショナリストから経済格差拡大に反対する左派勢力まで多様であったため、まとまった政治運動としては限界があった。この点を克服するため、12年10月、集会実施に主導的な役割を果たしてきたアレクセイ・ナバリヌィ(国際ブロガー)、ボリス・ネムツォフ(ロシア共和党・自由国民党共同党首、エリツィン政権期に第一副首相など重要ポストを歴任)、セルゲイ・ウダリツォフ(「左派戦線」代表)などが、集会に賛同する市民による選挙で「野党調整評議会」メンバーに選出され、運動をより組織的なものとする方針をとっている。他方、ウダリツォフやナバリヌィの逮捕・捜査など運動指導者に対する当局の取り締まりも厳しくなっている。