TNK-BPはイギリスの石油メジャーBPおよびロシア側出資者コンソーシアム「アルファ・アクセス・レノヴァ(AAR)」の折半出資による企業。2003年創立。前身のチュメニ石油会社(TNK)は社会主義崩壊後の民営化路線の中で設立された財閥系企業だった。BPはこの合弁によってロシアからの安定的原油供給を目指していたが、経営権をめぐってロシア側株主との間で対立が続いていた。BPはロシア政府系の石油企業ロスネフチと協力関係を結び、事態の打開をはかる。12年7月、ロスネフチはBP保有株式を購入する意向を表明し、銀行団もロスネフチへの融資に前向きとなったことで、10月12日、ロスネフチはBP保有のTNK-BP全株買収を、さらに12月22日にはAAR保有株についても買収することで合意をとりつけたと発表、TNK-BPを傘下に吸収することを決めた。これにより、ロスネフチはアメリカのエクソンモービルを抜き世界最大規模の石油企業となる。BPは引き続きロスネフチの20%株主として、また役員派遣によって影響力を維持する。今回の買収は1990年代にロシア石油業界を席巻した新興財閥系企業の後退を決定づけるとともに、ロシアが戦略的に外資との連携によって石油事業を展開するための布石と評価できる。