「反プーチン集会」に象徴される国民の政治不信に対処するため、政権側から提示された民主化改革の一つ。社会主義体制崩壊後、ロシアでは連邦を構成する州や共和国などの首長は住民による直接選挙で選ばれていたが、2004年9月のベスラン事件(北オセチアにてチェチェン分離主義テロリストが小学校を占拠、罪のない児童など300人超の犠牲者を出した)を機に、テロ対処のための中央集権化を名目に、05年以降、大統領による地方首長の任命制が導入されていた。11年12月の下院選挙によって国民からの政権不信が明らかになると、メドベージェフ大統領は政党の設立要件の緩和・活動自由化と併せて、地方首長選挙の復活を打ち出した。首長直接選挙に関する法案は12年4月に議会を通過、離任直前のメドベージェフ大統領が署名し成立した(発効は6月1日)。同法では、政党推薦者および自薦者が立候補することができるが、推薦にあたって大統領との協議(「大統領フィルター」)および地方議会議員の5~10%の支持という要件(「地方自治体フィルター」)が課される。地方首長の任期は5年、連続三選を禁止。住民によるリコール制度もある。当該法による最初の選挙は12年10月14日に5つの州で実施され、いずれも与党「統一ロシア」からの現職候補者が当選。