政党間対立のため約2年半不在であった大統領を選出した一連の選挙プロセス。モルドバは、親ロシア派の分離主義的な沿ドニエストル(非実効支配地域)を抱え、またルーマニアとの民族的な近さもあってヨーロッパとロシアとの間で均衡的な内政・外交政策を展開している。2000年以降、モルドバ大統領は議会による間接選挙で選出され、01~09年までは親ロシア派である共産党出身のウラジミール・ボローニンがついていた。09年4月の議会選挙後、議会内で親欧米派と親ロ派が伯仲し、双方とも大統領選出のために必要な61議席(全議席の5分の3)以上に到達しない状態が続いていた。12年3月16日、親欧米派の与党が推す最高司法協議会議長で無所属のニコラエ・ティモフティが62票の獲得に成功し、大統領に就任した。ティモフティは沿ドニエストルからのロシア軍の撤退と、同地域の紛争解決に向けた公式交渉の推進を主要な政策として掲げる。