2014年冬季オリンピック開催都市の最終選考会議であった07年7月の国際オリンピック委員会(IOC)総会では、プーチン大統領自ら英語でのプレゼンテーションを行うなど、国家を挙げてソチへの招致運動を行った。伝統ある黒海沿岸の保養地ソチでは、その後、急ピッチで関連施設を建設。工事には中央アジアやコーカサス諸国から来た多くの労働移民が劣悪な労働条件の下に携わった。当初、120億米ドルと見積もられていた施設建設費用は、実際にはオリンピック史上最高の500億米ドル超にのぼり、これに関連する汚職もロシア国内で頻繁に報じられている。ロシア政府は国内の祝祭的雰囲気を演出するため、ロシア全土、さらには地球を飛び出し国際宇宙ステーションでも聖火リレーを実施。ウラジオストクではノボシビルスク在住の日本人女性も聖火ランナーに加わった。自爆テロが相次ぐ北コーカサス地域に近い都市でのオリンピック開催ということで、治安が最大の課題となっている。開催期日が迫った13年12月には、ソチの北東約700キロメートルにあるヴォルゴグラードで連続自爆テロが発生。開催地だけでなく周辺各地でのテロ予防のため、当局は厳戒態勢を敷いた。