アメリカの国家安全保障局(NSA)による世界規模の情報監視を内部告発したエドワード・スノーデンの亡命事件。同氏は滞在先の香港で、NSAによる組織的なインターネット・電話の傍受・監視について告発。2013年6月6日のイギリス、ガーディアン紙がこれをスクープしたのを機に、全世界でアメリカ政府による個人情報の秘密裏の収集実態について注目が集まった。アメリカ司法当局はスノーデンに対し逮捕命令を出したが、彼はロシアに向けて出国(6月23日)。当初、モスクワ経由で南米などに亡命先を探していたが、受け入れ国が決まらないまま1カ月以上もモスクワ郊外のシェレメーチェボ空港内に滞在。ロシアは対米関係悪化を懸念して、当初スノーデンの受け入れに消極的であったが、空港滞在中にスノーデンのパスポートが失効したこと、また、米ロ間に犯罪者引き渡し条約が存在しないことから、1年間の期限でスノーデンの亡命申請を承認(8月1日)。9月に予定されていた米ロ首脳会談のキャンセルなど、一時的に米ロ関係は緊張したものの、本件が二国間の主要問題として焦点化されることは当面回避された。