ソビエト連邦(ソ連)末期以来、中ロ関係は2008年10月に完了した国境画定交渉をはじめ、武器供与の拡大や上海協力機構などの枠組みに基づく軍事・安全保障協力が拡大した。近年、二国間関係の深化は特に経済分野で進んでいる。10年には中国は欧州諸国を抜いて国としてはロシアにとって最大の貿易相手国となった。特に中国からの輸入額は13年現在16.88%と増加の一途をたどっている(ロシア連邦関税局による数字)。14年5月、訪中したプーチン・ロシア大統領は、年間300億立方メートル超、30年間で総額4000億ドルにのぼるガス供給に関する契約を中国と交わした。ロシアの対中武器供与についても、14年になって最新鋭戦闘機スホーイ35の供給方針を明確にするなど進展がみられる。ウクライナ危機によって欧米諸国との関係が冷却化するなか、ロシアにとって中国との政治・経済関係の深化は、アジア・シフト政策のための重要な要素となっている。他方、ウクライナ危機に伴う経済制裁や石油価格の低下によって停滞するロシア経済が過度に中国に依存することを不安視する見方もある。