日本が固有の領土とする国後島・択捉島・歯舞群島・色丹島を含む、クリル諸島(千島列島)におけるロシア軍の近代化・拡充政策。ロシア国防省は、2010年代に入り、北極圏とともにサハリン(樺太)やクリル諸島を重視する傾向を強めた。2020年までにこれらの地域での軍事的な基盤整備を進める計画であり、北方四島域内には既に駐留している3500人規模の地上軍師団に加え、15年に地対艦ミサイルが配備された。ショイグ国防相は16年3月、次世代無人飛行機などの追加配備を行う方針を示し、さらに17年2月22日には、同年中にクリル諸島へ新たな師団を配置することを表明した(これは、実質的に既存師団の改編を意味するとの説もある)。日本政府は北方四島でのロシア軍備強化に警戒・反発を強めている。ロシアは、今後の日ロ関係の中で、北方四島を自国の防衛に有利な形で位置付けることをめざしていると考えられる。報道によれば、ロシアは将来の日ロ平和条約締結に向けて、北方四島を日米安保条約の適用対象外とすることを要求している。同地域に米軍駐留を含めアメリカの影響が及ぶことを懸念しているためである。