ロシアでは国家ぐるみでスポーツ選手のドーピングが行われていた実態が、国際的に暴露・批判され、2016年リオ・オリンピックおよびパラリンピックへのロシア人選手出場に大幅な制限が課された。14年、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)スタッフと、その妻である元陸上選手が、ドイツのテレビでドキュメンタリー番組に出演して問題を告発したことで疑惑が表面化。世界反ドーピング機関(WADA)が独立委員会を設置して調査を開始した。リオ・オリンピック開催直前の16年7月18日、WADAは調査結果を発表し、11年から15年8月までにロシアの検査所でドーピング陽性反応が出た577件中312件をスポーツ省幹部の指示で「陰性」と登録してWADAに報告するなど、国家ぐるみで隠蔽工作があったとし、ロシア人選手のリオ・オリンピックへの出場停止を勧告。これを受け、16年7月24日、国際オリンピック委員会(IOC)はロシア人選手の全面的除外を見送り、過去にドーピング違反歴がないことなどを条件に各国際競技連盟の判断に委ねることとし、最終的にはロシア選手団389人中、約7割の出場が認められた。他方、9月1日、国際パラリンピック委員会(IPC)では、リオ・パラリンピックでのロシア選手団の全面除外が決定された。