2005~06年は、EU(欧州連合)加盟後初の中・東欧の一斉国政選挙の年となったが、EU加盟を推進した多くの政権党は下野することとなった。ポーランドでは「法と正義」を率いる双子のカチンスキ兄弟の弟(レフ)が05年12月に大統領に就任し、06年7月には兄(ヤロスワフ)が前首相の辞任を受けて首相となった。双子の兄弟が大統領と首相になったのは初めてのケースである。「法と正義」は、EUに批判的な農民政党、レッペルの「家族同盟」や「自衛」と組み、「国益」保持を掲げて選挙戦にのぞんだ。ハンガリーでは、自由選挙で初めて、継続して社会党が勝利した。中道右派・民族派のフィデス(FIDESZ 青年民主連合)を破ったのは、若者や労働者、都市の住民を手堅く取り込んだ結果であるが、勝利後に実行された規制緩和と大幅税制改革により、国民の支持は急速に下がった。社会党政権も、秋の地方選での敗北は確実と踏みながらも、今後の成長のためには改革は避けられないとして断行した。チェコではクラウス大統領の政党である旧野党、市民民主党が第1党となり、社会民主党は下野した。スロバキアはこれまで民主派の連合政権が続いてきたが、06年は、左派スメルから民族主義者メチアルの民主スロバキア運動までの、幅広い大連合となった。