1999年3月に中欧3カ国(ポーランド、ハンガリー、チェコ)がNATO(北大西洋条約機構)に加盟し、並行してNATOによるコソボ空爆が開始されたが、その最中の4月のNATO首脳会議で、「新戦略概念」が提起されるとともに、MAP(加盟のための行動計画)が打ち出された。これには中・東欧9カ国(バルト三国、ルーマニア、ブルガリア、スロベニア、スロバキア、アルバニア、マケドニア)が、NATOとの共同行動とともに将来の加盟を前提とした協力関係を打ち立てた。2004年3月にはアルバニアとマケドニアを残す7カ国が加盟し、これらの国はすべてビルニュス10としてイラク戦争を支持し、スロベニアを除きイラク派兵に参加した。その後クロアチアやセルビアなど西バルカン諸国には、「安定連合プロセス(SAP)」とMAP、ウクライナ、モルドバ、ベラルーシやグルジアなどには、加盟を前提としない「欧州近隣諸国政策(ENP)」とアクションプランで対応することとなった。しかしウクライナのオレンジ革命と、中東の不安定化を踏まえ、04年6月のイスタンブール首脳会議では、黒海地域の戦略的重要性が指摘され、「強化された対話」と「個別パートナーシップ行動計画(IPAP)」を推進している。現在クロアチアなど加盟候補国は、NATO加盟を最優先として、新加盟国とともに軍の近代化、民主化、法整備、軍事的な相互運用能力などの改革に努めている。