ヨーロッパの拡大は、いくつかの特徴と段階を経て進展している。第1は、安全保障面での、EU(欧州連合)・NATO(北大西洋条約機構)の境界線の拡大、第2は政治経済統合で、冷戦やNATOによる空爆などを経ての地域統合、第3は、シェンゲン協定によるEU境界線の拡大、第4は金融統合で、単一通貨ユーロを用いる「ユーロゾーン」の拡大の段階に入っている。
EUは、2004年、07年の拡大以降、東への拡大はトーンダウンしている。クロアチアが09年秋には加盟交渉を完了し、翌10年の加盟を目指している。欧州委員会は現状では、クロアチアの加盟を12年ごろ、その他西バルカンは20年ごろをめどとしており、トルコの加盟の可能性は、かなり先の話となる。こうした中で、新たな目標となってきているのが「ユーロゾーン」への参加であり、新加盟国については、07年にトップを切ってユーロゾーンに入ったスロベニアに続き、09年1月には、前年インフレ率を大幅に縮小させたスロバキアが加盟した。
新加盟国の中心国であるハンガリー、チェコ、ポーランドはユーロへの加盟は慎重で、現在では、12年への加盟を目指すかどうかが焦点となっている。08年秋までは、ユーロ高により自国の輸出産業が圧迫されるとして加盟を先延ばしにしていた中欧諸国も、世界金融危機に続くユーロ安、および自国通貨下落の危機にかんがみ、慎重であった北欧諸国なども含み、ユーロゾーンへの加盟に拍車がかかる可能性もある。