ドイツとフランスの共同の歴史教科書作りと並行して、21世紀の初頭まで互いに対立・紛争と殺りくを続けていたバルカン地域で、主に歴史学者や知識人を中心に、歴史の副読本を共同で作る作業が進んでいる。柴宜弘東京大学教授によれば、セルビア、クロアチア、ボスニアなどで、それぞれの史実を共に並べて同一言語で記述する副読本が、まず英語で、その後各国語に翻訳される作業が続けられている。これにより人々が、歴史の真実が一つではないこと、それぞれの価値観に基づく歴史が存在することなど、さまざまな違いを認識する契機となっているとされる。