ロシアからウクライナ経由でヨーロッパ向けに輸送される天然ガスが、2009年1月、価格をめぐる両国間の紛争で約2週間全面停止した事件。その間、中・東欧などへの供給が全面停止し、厳冬期の家庭や企業が深刻な影響を受けた。ロシアからヨーロッパへのガス輸出の8割はウクライナを経由しているため、ウクライナ向けだけ供給を停止しようとしても、ヨーロッパ向け全体に影響が出る。特に今回はロシア側がウクライナを経由するガス供給を完全に停止したため、チェコ、ルーマニアなど中・東欧を中心に11カ国以上でガスが完全にストップした。各国は備蓄取り崩しや他国からのガス供給で対応したが、ブルガリアで一般家庭の暖房用供給がストップしたほか、企業や学校が一部閉鎖された。また、ハンガリーではスズキの自動車工場が一時生産停止に追い込まれた。スロバキアでは非常事態を宣言し、企業へのガス供給制限に踏み切った。欧州連合(EU)が仲裁に乗り出し、ようやく供給が再開された。