ナチス・ドイツがポーランドに侵攻、第二次世界大戦が始まってから70周年の2009年9月1日、開戦地ポーランド北部のグダニスクで行われた記念式典。ドイツのメルケル首相やロシアのプーチン首相らが出席した。開戦70周年をきっかけに、ソ連(当時)とナチス・ドイツをともに「占領者」と見なす東欧・旧ソ連諸国と、自らをナチスからの解放者とするロシアとの間で歴史論争が起きた。東欧のなかでもドイツ、ソ連に侵略されたポーランドは、ロシア側の反発に神経をとがらせている。ロシアの国営テレビがドキュメンタリー番組で、ポーランドとドイツが「独ソ不可侵条約」(1939年)以前の34年に軍事協力などに関する秘密議定書を結び、ソ連に対抗しようとしていたと指摘。これに対し、ポーランドのメディアが「開戦の責任がポーランドにあるとの印象を与えるものだ」と一斉に反発した。ポーランドのトゥスク首相も「誰が被害者かは明らか。過去の事実に背を向けて未来の関係を築くことはできない」と述べた。一方、プーチン首相はポーランド紙に寄稿し「ドイツの提案を断らなかったソ連外交は正しい」と、独ソ不可侵条約を正当化した。ソ連を継承したロシアは、旧ソ連の行動を批判する各国に対して「歴史捏造(ねつぞう)対策委員会」を設置した。