南欧諸国を襲った債務危機の影響が、比較的成長率の高かった中・東欧諸国に広がった。なかでも、2008年秋にリーマン・ショックで通貨危機に陥り、国際通貨基金(IMF)などから金融支援を受けたハンガリーが11年11月、再びIMFなどに金融支援を要請した。同国の通貨フォリントが一時、対ドルで4分の1以上も下落したためだ。07年にユーロを導入したスロベニアでは、10年物国債の利回りが上昇し、11年11月には財政運営が難しくなる危険水域とされる7%に達した。このためパホル首相の不信任案が可決されるなど政治の混乱につながった。また、危機はユーロ圏の「優良国」とされたオーストリアにも波及し、政府は20年までに政府債務を国民総生産(GDP)の60%以下に抑える方針を決めた。一方、ポーランドはユーロ導入の時期を12年としていたが、当面新たな導入目標を設定しない方針を決めた。チェコもユーロ導入の時期を決めかねており、15年に判断するとしている。ユーロ危機のため導入への懐疑論が中・東欧各国に広がっている。