ウクライナの野党政治家、ティモシェンコ前首相がロシアとの天然ガス交渉に絡み、職権乱用罪で起訴され、有罪判決を受けた事件。ウクライナ最高検は、前首相が在任中の2009年1月、ロシアと天然ガス購入契約を結んだ際、内閣の承認を得ないで国営ガス会社に不利な契約を強要した結果、15億1600万フリブナ(約150億円)の損害を与えたとして11年5月、ティモシェンコを在宅起訴した。これに対し、野党側は「ヤヌコビッチ大統領が政敵の失脚を狙った政治裁判」と強く批判、無罪を主張して全面的に争った。
キエフの地区裁判所は11年10月11日、禁錮7年と約150億円の賠償を命じる判決を言い渡した。野党側は「政治弾圧だ」として控訴するとともに、大規模な抗議運動を展開した。欧州連合(EU)のアシュトン外相は「対ウクライナ政策(の見直し)を検討する」との声明を発表。ロシアのプーチン首相も判決に懸念を示した。ティモシェンコは04年の大統領選でユーシェンコ大統領を当選させた「オレンジ革命」に貢献し、前政権で首相を2度務めた。10年2月の大統領選では、ヤヌコビッチ大統領に小差で破れ「選挙に不正があった」と現政権を批判した。