2014年4月、マケドニアで任期満了に伴って行われた総選挙。即日開票の結果、民族主義的右派「マケドニア民主党連合(VMRO-DPMNE)」とアルバニア系政党「統合のための民主同盟(DUI)」の与党連合が123議席中80議席を獲得して勝利し、ニコラ・グルエフスキー首相の続投が決まった。また、同時に行われた大統領選でも、与党連合のギョルギェ・イバノフが再選された。だが、選挙後野党側は不正投票があったと主張して議会をボイコット。さらに、最大野党の社会民主同盟(SDSM)は15年2月、政権側による選挙違反、賄賂汚職や不正な資金管理、反体制派の追放を狙った刑事事件の捏造(ねつぞう)、殺人の隠匿などへの関与を示す盗聴テープを公表した。このため首相辞任を要求するデモや、それに対抗する政権支持者たちのカウンターデモも実施され、政情が不安定化。武装勢力による銃撃戦で、多数の死者も出るに至った。こうした国内の混乱を受け、欧州委員会のヨハンネス・ハーン委員(欧州近隣政策・拡大交渉担当)らが調停に乗り出し、与野党党首間協議を実施。16年1月中旬までの首相退陣、1月15日までの暫定政権発足、4月までの総選挙実施などの合意に達した。これを受けて野党側もボイコットを中止。議会審議を再開させるなど、ようやく正常化の道筋が見えてきた。