欧州連合(EU)は、2004年5月1日から中・東欧=地中海に位置する10カ国が新たに加入したことで、25カ国からなる政治共同体として歴史的な一歩を踏み出した。これによりEUは人口4億5000万人となり、EU全体の国内総生産(GDP)も日本の2倍以上にのぼる「大欧州」として、巨大なパワーを擁することとなった。新規加盟国の選定については、1997年6月の欧州理事会でポーランド、ハンガリー、チェコに加えスロベニア、エストニア、キプロスの6カ国をEU加盟候補国の第一陣とすることが決定された。99年12月には前記6カ国に続く加盟候補国第二陣としてルーマニア、ブルガリア、スロバキア、ラトビア、リトアニア、マルタの6カ国と交渉に入ることを決定、さらなる拡大に向けて大きく前進した。これらの候補国のうちEUの設定した31の分野での基準を達成した国として、ルーマニアとブルガリアを除く10カ国を2004年から加盟させることが決定された。また、04年12月17日の首脳会議でルーマニアとブルガリアの07年1月加盟を承認し、EUは27カ国に拡大することとなった。さらに05年12月の首脳会議でマケドニアを加盟候補国にすることが承認され、旧ユーゴではクロアチアに続く候補国となった。同じ旧ユーゴのセルビア・モンテネグロに関しては、06年5月、旧ユーゴ国際戦犯法廷(ICTY)へのセルビア人被告の逮捕・引き渡しが行われなかったため、加盟準備交渉が中断したが、同年7月のモンテネグロ独立を受け、モンテネグロとは準備交渉を開始し、10年11月に欧州委員会は加盟候補国の地位を与える提言を発表した。セルビアともICTYへの被告引き渡し後、07年6月から準備交渉を再開した。クロアチアについては11年6月に加盟交渉が終結し、12年1月に国民投票でEU加盟が承認された結果、13年7月1日に28番目の加盟国となった。また10年6月の欧州理事会でアイスランドの加盟交渉開始が承認され、加盟候補国となったことで、さらなる拡大が見込まれる。