欧州連合(EU)は、1996年3月の臨時首脳会議を皮切りにマーストリヒト条約見直しのための政府間会合をスタートさせ、EUの機構改革、共通外交・安全保障政策(CFSP)の基盤強化などの懸案をめぐって交渉を進めてきた。この過程でドイツ、フランスなどの統合促進派とイギリスなどの国家主権重視派とが鋭く対立、交渉は難航したが、97年6月にオランダのアムステルダムで開催された定例首脳会議までに妥結し、新欧州連合条約(アムステルダム条約)が成立した。CFSPについては全会一致を原則としながら、共通政策の原則・指針などの決定に当たっては賛成国だけが実施義務を負い、棄権国は義務を免れる「建設的棄権制」の導入で決着をみた。また平和維持活動などの「共同行動」や「共通の立場」については、外相理事会が特定多数決(約70%の賛成票で可決)で決定することも盛り込まれた。