1991年12月にオランダのマーストリヒトで開かれた欧州共同体(EC European Community)首脳会議で合意された後に、ECの基本法であるローマ条約の改正、さらにECを欧州連合(EU European Union)に発展させて、外交・安全保障政策の共通化と単一通貨ECUを基礎とする通貨統合の達成をうたった欧州連合条約を採択(92年2月に調印)した。この条約では、外交・安全保障政策の統合と経済・通貨統合のほかに、EU共通市民権(Citizenship of the European Union)の導入や欧州議会の権限拡大など統合の深化が規定された。国民投票で条約批准を拒否したデンマークについては、92年12月のエディンバラでの首脳会議で合意した、(1)単一通貨、共通外交・安全保障政策への参加免除、(2)社会福祉、消費者、環境政策での独自水準維持、などの「デンマークに関する決定・宣言」も併せて問う形で93年5月18日に再国民投票が実施され、56.8%の賛成でようやく批准された。こうして同条約は93年11月1日に発効し、EUが正式に発足した。