2002年5月28日の北大西洋条約機構(NATO)・ロシア首脳会議で採択された「NATO・ロシア関係:新しい質」宣言で創設が決められた新しいメカニズムで、安全保障問題についての協議、合意形成、協力、共同決定・行動を行う。両者間の基本枠組みとしては、1997年5月、常設合同理事会(PJC)が創設されている。このPJCが、単にNATOの決定をロシア側にブリーフィングするだけの場であったのに対し、NRCでは加盟国とロシアは対等の立場で討議するものとされた。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件を契機に、対テロ作戦に大きく貢献したロシアと、欧米諸国との間の関係改善が一気に進み、理事会の刷新が決定されたのである。もとより、ロシアが討議に参加するのは対テロ闘争や危機管理といった特定の問題のみであり、拒否権やNATOの集団防衛案件への討議参加権限が与えられているわけではない。それでも、NRCを通した協力関係は一定の進展を見てきた。08年8月のロシア・グルジア紛争を機に、一時NRCは休会状態に陥ったが、09年6月、紛争後初の外相会合が開催され、NRCの戦略的重要性が再確認されている。