2007年6月、ブラウン政権発足直後に発覚したイギリスでの連続テロ事件。6月29日、ロンドンの繁華街近くで爆薬を積んだ車が発見された。その翌日、今度はイギリス北部グラスゴーの空港で車がターミナルビルに激突・炎上した。逮捕者は8人で、そのほとんどが医師か病院関係者であった。イギリスでは05年7月、G8サミットの開催中、ロンドンの地下鉄・バスを狙った同時爆破テロが起こされ、50人以上が死亡した。06年にはアメリカ行き旅客機の同時爆破テロが未然に摘発されている。これまでのテロ首謀者たちが、イギリス生まれ・育ちの移民2世、3世であったことが衝撃をもって受け取られたが、今回の事件の首謀者は外国籍をもつ医師と見られ、新たなパターンを見せた。この背景には、ブレア前政権期、緊縮財政のなかで進めた公的医療制度改革があった。医師不足を補うために、国外で研修を受けた外国人医療関係者を合法的に受け入れていたためである。