元フィンランド大統領マルッティ・アハティサーリの行った数々の平和調停努力のこと。この功績が評価され、2008年度のノーベル平和賞を受けている。アハティサーリは外交官として、ナミビア紛争の仲介にかかわったのをきっかけに、和平外交に携わる。1994年から2000年、社会民主党代表のフィンランド大統領となるが、この間もコソボ紛争や北アイルランド紛争を和平合意に導いた。大統領を辞した後は、NGO「危機管理イニシアチブ(CMI)」の代表を務め、05年には30年にわたって対立を続けていたインドネシアと自由アチェ運動の交渉を組織し、和平を達成した。平和賞の副賞140万ドルもNGO資金に使うという。調停が不調に終わったケースもあるが、その粘り強い交渉力には定評がある。さらに、同氏の調停外交の背景には、フィンランドが長年つちかってきた現実主義的な中立政策の歴史や、警戒感をもたれにくい小国出身という利点も指摘されている。