スペインのバスク地方における武装独立運動。バスク地方はフランスとスペインとの国境であるピレネー山脈の西部に位置し、同地方に住む80万人のバスク人は、独自の言語と文化をもち、誇り高く独立精神が旺盛なことで知られている。バスク人居住地はフランス南西部にも及ぶ。この地を含めて、完全独立を目指す民族主義者団体ETA(バスク祖国と自由 Euskadi Ta Azkatasuna 〔バスク〕)は、1968年に武装闘争を開始し、以来、脅迫や誘拐を資金源に一種のマフィアと化しており、800人近い犠牲者を出してきた。他方、76年から87年にかけては、政府側によるETAメンバーの逮捕、拷問、殺害という「汚い戦争」も行われていた。ETAは過去2回、無期限停戦を宣言しているが、いずれも、和平には至らなかった。2008年からフランス側に逃げ込んだETAの最高幹部が相次いで逮捕されている。追いつめられたETAは、10年9月にも停戦を宣言している。