全世界11億人ともいわれる信者を有するローマ・カトリック教会の首長。2005年4月2日、第264代ローマ法王ヨハネ・パウロ2世が死去した。ポーランド出身のパウロ2世は455年ぶりのイタリア人以外のローマ法王として1978年に選出され、在位26年。産児制限や避妊、同性愛、女性の司祭を認めず、教義面では保守路線を固守したが、他方、1054年に東西分裂したキリスト教会の和解、ユダヤ教、イスラム教との融和に取り組み、100回以上を超す対話のための外国訪問をこなした。後継には、ジョセフ・ラッツィンガー枢機卿がコンクラーベ(法王選挙会)2日目という異例の早さで選出され、ベネディクト16世を名乗ることになった。就任時で78歳、ドイツ人のベネディクト16世は、パウロ2世の側近中の1人で、その保守路線を継承しているが、キリスト教中心主義という面でも保守的であるといわれる。2006年ドイツで行った講義の中での引用が、預言者ムハンマドを批判しているとして、イスラム教徒の強い反発を呼んだ経緯がある。発言後、イスラム知識人ら138人による相互理解を訴える書簡がきっかけとなり、08年11月には、双方の対話促進フォーラムを開催し、関係修復に努めている。