「テロとの戦い」とは、2001年、アメリカの同時多発テロ事件後の9月20日、ブッシュ米大統領(当時)が議会の上下院合同会合の席上初めて使った言葉で、事件の首謀組織アルカイダをはじめとするテロ組織に対する世界規模のキャンペーンのことを指す。当初、この用語はイギリスでも使われたが、「戦い」がイラクの対ゲリラ戦争に拡大するに及んで、その使用頻度は減少した。06年には、イギリス政府が内々に、この用語を使うことを禁じていたことがわかっている。09年1月、ミリバンド外相はガーディアン紙上で、改めてこの考え方は「誤解を呼びやすく、間違っていた」と指摘した。なぜならば、この考えが、西に敵対する一枚岩の国際テロ組織を想定し、これに対応するには軍事力が一番だとみなしていたからだという。ミリバンド外相は、実際のテロ組織はそれぞれ固有の意図を持つばらばらの組織であり、これらに対する適切な対応は、法と人権の重視であるとして、アメリカのオバマ政権とともに、国際的な協力を推進する意向を示したのである。