2008年秋、世界的な金融危機の衝撃を受けてアイスランドが陥った経済危機のこと。アメリカのサブプライムローンに端を発した金融危機の影響を世界で最初に受けたのが、人口30万人のアイスランドであった。アイスランドは漁業を主体とする小国であったが、1980年代に経済の規制緩和を進め金融立国を目指した。経済成長の結果、一時は1人当たりのGDPで日本を超えるほどになり、成功物語として語られたこともあった。しかし、金融危機発生後、資金回収の動きが起こると、たちまち通貨クローネは大暴落し、通貨危機に陥った。政府は銀行を実質国有化し、各方面に資金援助を頼むものの、同時に金融不安に襲われたヨーロッパ諸国にはその余裕がなく、逆に銀行資産凍結を巡って争いが起こった。ここにロシアが40億ユーロの緊急融資に同意したとのニュースが入り話題となった。結局、国際通貨基金(IMF)が最大21億ドルを、さらに北欧諸国が追加融資をし、総額53億ドルの融資を受けることになり、何とか難局を乗り切ろうとしている。今後に関しては、金融立国政策の見直しと、これまでかたくなに拒んできた欧州連合(EU)への加盟問題が浮上した。2009年4月の総選挙を経て、新政府は同年7月に加盟申請を行い、約3年での加盟を目指している。