任期満了を受けて2009年9月27日に実施されたドイツの総選挙で、アンゲラ・メルケル首相の率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が33.8%(239議席)を獲得したのに対して、社会民主党(SPD)は戦後最低記録(1953年総選挙時の28.8%)をも下回る23.0%の得票率(146議席)で惨敗を喫した。その結果、SPDはCDU/CSUとの大連立政権から離脱を余儀なくされ、シュレーダー政権以来担ってきた与党の座から野党へと転落することとなった。メルケル首相は14.6%の得票率(93議席)を獲得して大躍進を果たした自由民主党(FDP)と連立を組むことを決定し、2009年11月に中道右派連立政権が再び成立することとなった。しかし、CDU/CSUもSPDと同じように得票率を大きく減らし、05年以降のSPDとの大連立政権の下で効果的な経済政策や社会保障政策を打ち出せなかったことに対する国民の根強い不満が示された。結局、2大政党に対する国民の不満を吸収することに成功したのはFDPなどの中小政党であり、シュレーダー政権当時に連立を組んだ90年連合・緑の党が10.7%(68議席)、左派党が11.9%(76議席)を獲得したのはその証左である。大敗北を喫したミュンテフェリングSPD党首は辞任し、党勢立て直しのエースとしてジグマル・ガブリエル前環境相が新党首に就任。