内部告発者や調査報道を保護し、表現の自由を保障しようとするアイスランドの画期的な法案。IMMIを推進する議員らは、ウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジの発想から刺激を受けて、アイスランドを、情報がわざとあいまいにされるタックス・ヘブン(租税回避地)の逆を行く情報公開の場所にすると主張する。2010年6月、構想法案化のための指針が議会に提出されたが、この指針は全員一致で承認された。国民支持の背景には、09年夏、金融危機で財政破綻した折に、ウィキリークスが責任の一端を明確にする情報を公開したという経緯があったという。また国の威信回復を図りたいという小国の意気込みもある。内容的にはスウェーデン、ベルギー、ノルウェー、エストニアなど世界各国における表現の自由に関する先進的な法規定を取り入れ、ジャーナリストを報道差し止めや名誉棄損訴訟等の追及から守るための包括的な内容となっている。アイスランドは、EU(欧州連合)加盟の申請中で、その加盟交渉は今後のこととしても、すでに欧州経済地域(EEA)の加盟国であるため、情報保護の義務を負うなど、法制化には乗り越えるべき課題もある。