2011年3月から10月まで北大西洋条約機構(NATO)によって実施された、リビアに対する軍事作戦。11年1月、チュニジアで起こった反体制運動による政権交代の刺激を受け、2月中旬、リビアのベンガジで反体制派が蜂起した。内戦開始で、反体制側が欧米に軍事支援を頼むが、内政干渉を警戒する中国やロシアに加え、アメリカも当初支援を反対していた。しかし、カダフィ政権による反体制派の弾圧が強まると、イギリス、フランスなどが人道的見地から軍事介入を強く主張した。3月17日、即時停戦、飛行禁止区域の設定と、飛行禁止の順守のために「あらゆる手段を講じること」を許可する国連安保理決議1973号が中国とロシアの棄権で採択された。これをもとに、アメリカ・イギリス・フランスの主導で空爆が開始されるが、間もなく3月31日、指揮権はアメリカ軍からNATOに引き継がれた。アメリカは後方支援に回り、軍事作戦はNATO創設以来初めて、イギリス・フランスなどヨーロッパ諸国主導で実施された。10月20日、カダフィ大佐の死亡で内戦が終結した後、作戦は同10月31日に完了した。