2011年8月6~9日、ロンドンを始め、イギリス各地で起こった暴動。8月4日、ロンドン北部トッテナムで、地元住民の黒人男性が、銃犯罪捜査中の警察官によって射殺されたことが発端となった。男性の遺族などによる警察署前での追悼・抗議デモが、放火、略奪、建物や店舗の破壊という形の暴動に転化した。暴動は、ロンドン各地区に波及し、さらに、バーミンガム、マンチェスター、リバプールなど各都市に拡大した。夏季休暇を切り上げ帰国したキャメロン首相は、緊急対策会議(COBRA)を開催、本土の暴動鎮圧としては初めて放水車の使用を許可するなど、強硬策で対応せざるを得なかった。この結果、被害額は2億ポンド(約250億円)に及び、2000人以上が逮捕され、1700人以上が有罪判決を受けている。その後の調査では、逮捕されたものの半数以上が20歳以下の若者であり、若者、貧困層、低教育レベルの者が相対的に多かった。暴動拡大の背景に、景気低迷下での格差の拡大があることが改めて認識された。