2011年6月5日の総選挙の結果、中道左派の社会党から、中道右派の社会民主党への政権交代が行われた。ポルトガルでは08年当初より景気が後退していたが、世界経済危機を受け、景気後退が加速化した。社会党のソクラテス政権は公務員の人件費抑制、社会保障給付の見直し、付加価値税や個人所得税の引き上げを含む10年からの財政赤字削減プログラムを発表した。しかし、社会党は09年の総選挙で少数与党に転落しており、同プログラムは国会で否決された。この結果、首相は辞任し、11年3月31日に議会は解散された。総選挙を前にして、資金調達状況が悪化したため、ポルトガルは欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)に金融支援を要請するに至り、11年5月、3年間で総額780億ユーロ(約8兆9000億円)の融資を受けることが決定した。こうした混乱から総選挙では与党への不満票が集まり、小さな政府を志向する中道右派の社会民主党が、6年ぶりに政権復帰することになった。しかし、政権交代後も、融資条件とされた財政健全化プログラムの下、大幅な歳出削減や増税を迫られることになる。