2011年11月10日、全ギリシャ社会主義運動(PASOK)のパパンドレウ内閣は、首相をルーカス・パパデモスに交替し、野党新民主主義党(ND)との大連立内閣を発足させた。PASOKは09年10月の総選挙で、5年ぶりに政権に復帰したが、その後、新民主主義党(ND)のカラマンリス前政権下で統計操作が行われ、財政赤字が過少に計上されていたことが発覚した。このことから、債務返済能力も疑われることになり、ギリシャの財政危機はユーロの信頼も揺るがすことになった。10年5月に欧州連合(EU)は国際通貨基金(IMF)と合同で総額1100億ユーロ(約11兆円)の緊急融資を決定した。しかし、支援策の条件とされる財政緊縮策を巡って、ギリシャ国内では抗議デモが頻発し、死者を出す騒ぎとなった。国民の間には、2大政党の特権階級が政治を牛耳り、汚職を放任したとの認識が強く、放漫財政のつけを取らされることへの不満が鬱積(うっせき)しているためだ。その後も債務危機が続き、パパンドレウ首相は11年11月、第2次支援受け入れのため、国民投票の実施を検討した。しかし、金融市場に不安が走ったため、急きょ内閣信任投票に切り替えた。結果は僅差の信任となったが、内閣信任が債務不履行を回避する見通しにはつながらず、パパンドレウ首相の退陣となったのである。