2011年11月12日、ベルルスコーニ首相が辞任を発表し、後継に元欧州委員でミラノのボッコーニ大学総長のマリオ・モンティが就任した。ギリシャに端を発した欧州債務危機が、ユーロ圏第3の大国イタリアにも飛び火した。11月、イタリア国債の価格が下落し、長期金利の指標となる10年ものの国債の利回りが、自力返済が難しい危険水準と言われる7%を超えた。イタリアでは政府の累積債務がGDPの120%にのぼる上に、低い経済成長率や政治指導力への不安が、国債の暴落を招いたのである。イタリア議会は11月12日、国際通貨基金(IMF)の監視下で、13年までに財政収支を黒字にするとする財政安定法を可決した。同法成立と同時に、ベルルスコーニは辞任し、財政再建と政治の信用回復の実務は後継内閣に委ねられることになった。モンティ首相は、女性問題や失言でしばしば話題となってきたベルルスコーニ前首相とは正反対の性格といわれ、内閣も全閣僚、政治的なしがらみのない専門家から構成した。政治家を入れない内閣は1990年代中ごろのディーニ政権以来となる。