2011年11月に行われたスペイン総選挙の結果、社会労働党(中道左派)のサパテロ政権から、最大野党、国民党(中道右派)への政権交代が決まった。1999年のユーロ導入以後、不動産バブルが起こっていたが、2008年のリーマン・ショックで信用収縮がスペインにも及んだ。そこに追い打ちを受けたのが、ギリシャの債務危機であった。財政状況は急速に悪化、10年には財政赤字がGDP比で9.2%に達した。特にスペインでは失業率が深刻で、11年8月の段階で21%を超え、25歳以下の若年層に至っては46%となっていた。スペインでは17の自治州の権限が大きく、この点も財政再建を難しくしている。サパテロ前首相は、見え始めていた景気回復の兆しに望みをかけ、12年3月予定の総選挙を11月に前倒しして行うことを決定した。しかし、選挙の結果は、国民党の圧勝に終わった。国民党は単独過半数を制し、7年ぶりの政権復帰となった。これで、11年、ユーロ圏で財政基盤の弱いPIIGSと呼ばれる、ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペインのすべてで相次いで政権交代が起こったことになる。