ドイツ政府は東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて、2011年3月14日に脱原発の期限を早める決定を行った。同時に、メルケル首相は老朽化した原発7基の3カ月間運転停止と全原発の徹底的な安全・保安検査を命じたことから世界の注目を集めた。
もともと脱原発の基本方針は、社民党と緑の党の連立政権当時の2000年に23年を期限とすると決定されていたが、09年に現在のキリスト教民主・社会同盟と自由民主党の連立政権によって期限が12年延長されていた。しかし、福島原発事故直後から世論の反原発ムードが急速に高まった結果、メルケル政権は脱原発の期限を再び短縮する決定を迫られ、原発に代わって太陽光エネルギーなどの再生可能エネルギーの導入量を増やす決定を行った。11年6月に閣議決定された第13次原子力法改正法と再生可能エネルギーの利用促進を盛り込んだエネルギー供給システムの改善に関する6つの法律が議会を通過し、原子力法の改正によって22年までに脱原発を実現することが確定した。しかし、経済界を中心に脱原発に反対する勢力も根強く存在しており、今後の事態の展開によっては脱原発の時期が見直される可能性が残されている。