2003年1月22日、アメリカのラムズフェルド国防長官(当時)が記者会見で述べた言葉で、アメリカのイラク政策に批判的なドイツ・フランスを揶揄(やゆ)したもの。その根底には、21世紀の新しい脅威になかなか対応しようとしない両国に対するいらだちがあった。記者会見上、同長官は、アメリカのイラク攻撃姿勢に対する批判が高まっているが、との質問に答えて、批判しているのはドイツやフランスという「古いヨーロッパ」であり、ヨーロッパには新しいメンバーがたくさんいて、今やヨーロッパの重心は東に移動しつつある、と発言した。1月末にはイギリスなどに加え、「新しいヨーロッパ」とされるポーランドなど旧東欧3カ国を含む8カ国がアメリカ支持の共同声明を発表し、欧州内の亀裂が表面化した。北大西洋条約機構(NATO)・欧州連合(EU)の新規加盟予定国の多くはアメリカ支持に回った。両国批判はイラク戦後も尾を引き、03年5~6月にヨーロッパを訪問したブッシュ大統領(当時)も最初の訪問地にポーランドを選び、同国の貢献に賛辞を送った。米欧対立と同時に、欧州内の亀裂を象徴する言葉となった。